【2025年より開催】研究院勉強会が開催されました

開催場所 大阪 小原流研修会館
開催期間 2025.05.12 ~ 2025.05.12

研究院勉強会について

小原流研究院は家元代行職として支部研究会を通じて小原流の現在を会員の皆さまに伝えながら、小原流の技術を未来へとつなぐために自己研鑽に努めています。

2025年より指導者・表現者としてのさらなる成長を目指す場、また、研修課程を修了された研修士の皆さまが研究院とともに学びを深める機会として、「研究院勉強会」が開催されております。

今回の研究課題の要点および、審査により参考作例として選出された作品をご紹介いたします。


5月開催テーマ「燕子花」

指導担当者

小原流研究院副院長 金森厚至
小原流研究院副院長 鈴木査智子
小原流研究院教授 杼村麻美子

1作目 写景盛花様式本位

◆参考作例2作◆
伊藤あきこ01.jpg 小原流研究院講師
伊藤 彰子

まついひろし01.jpg 小原流研究院講師
松井 博士

講評

四季を通じて楽しまれる「燕子花」。今回は5月中旬という季節感を的確にとらえることが重要です。
丈短く、芽吹きの力強さを表現するのは春の頃。花が強く立ち上がり、葉を前後に大きく振るのは7月や8月。
5月の頃は自然な動きと抑揚のある表現が求められます。
三枚組の中央の一枚、そして組葉の開き具合で全体の印象を整えます。5月の頃は夏のように葉を大きく広げて中央を大きく落とす必要は
ありませんが、寄せすぎると花菖蒲のように表情が硬くなってしまいますので、程よい間合いをもって構成してください。
七宝の配置に関しては、副枝と客枝を結ぶ直線上に中間株を置くのではなく、少しずらして空間に「間」を設ける工夫が必要です。
花留めの配置に注意し、作品全体に抑揚を与えます
また、葉の構成と同様に、花そのものの「すわり」も作品の完成度に大きく関わります。特に主枝の花は正面を向け、安定感をもって美しく据える必要があります。副枝の花も表情を捉えながら、開花している花の位置を慎重に選び、留めることが求められます。


2作目 写景盛花自然本位

◆参考作例6作◆
はままつ大石.png 研修士 
浜松支部 大石 紫友
金沢ばば.png 研修士 
金沢支部 馬場 雅代 
小田原すぎやま.png 研修士 
小田原支部 杉村 理恵

山口.png 小原流研究院講師
山口 佳風

杉山ようこ.png 小原流研究院講師
杉山 陽子

まついしぜん.png 小原流研究院講師
松井 博士

講評

2作目の写景盛花自然本位においても、1作目と同様に5〜6月の爽やかな季節感を意識すること、そして水ものとされる花材を扱う場合は「陸と水」の関係性が重要です。
水際の軽やかさを表現するにはいけるよりも「作る」くらいに意識を向ける必要があります。
やぶ蚊が出そうなほど密な仕上がりは5月には相応しくありません。花材を抜くと良くなるだろう、という印象の作品が多数ありました。
雪柳、紅李、ぎぼうしで風が渡る心地よさを表現するためには、花材それぞれの色味と質感の違いにも注意を向けましょう。紅李の赤を足元に まとめてしまうと作品が重たくなる傾向があります。一方で雪柳の中に紅李を差し入れた作品は両者の持ち味が上手く生かされていました。
また、ぎぼうしは葉裏の銀葉を適量配し、リズムよく展開すると水辺の雰囲気が感じられます。
陸もの、水ものとされる花材のいけ分けは明確に行う必要があります。長方水盤と烏泥小判型水盤では器の奥行や空間の取り方が異なるので、 水盤上の「陸」と「水」の関係性も当然異なります。花材の出生感を見極め、その上で器の特性を生かした構成を考える力が求められます。


次回の研究院勉強会は7月15日 東京小原流会館での開催を予定しています。
参加対象は小原流研究院助教授・講師、研修士の皆さまです。
ぜひご参加ください。


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