詩と花とフレンチのコラボイベントにて挿花(富山支部 栁澤初穂)

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2025年10月19日、新湊マリーナに隣接するフレンチレストラン「Sazan」にて、開店10周年記念イベント「心ほどける秋の宵 詩と花とフレンチ ― 五感をひらく感性の旅」が開催されました。

2025年度版光村図書・中学三年国語教科書に詩が掲載された射水市在住の詩人・池田瑛子さんをお迎えしての、詩と花とフレンチのコラボイベントです。

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イベント概要

第一部:詩の朗読とトークセッション

教科書掲載作品をはじめ、秋の宵にふさわしい池田瑛子さんの詩を、ご本人が朗読されました。
それぞれの作品に込められた思いや制作の背景について語られた後、参加者とのトークセッションが行われました。
詩人の作品を、詩人自身の声と言葉で聴くという贅沢な時間となり、会場のあちこちで涙ぐむ姿も見られました。
朗読後のトークセッションでは、参加者からの質問に池田さんが丁寧に、時にユーモアを交えて答えられ、会場は終始なごやかで温かな雰囲気に包まれました。

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第二部:秋のフレンチフルコース

秋をテーマにした特別なフレンチフルコースが振る舞われました。
各テーブルでは繊細な料理への感嘆の声や、詩や生け花の感想などで大変にぎわいました。

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詩の世界を表現する生け花

会場を彩る生け花は、池田瑛子さんの詩の世界をテーマに制作しました。
玄関では、研ぎ澄まされた言葉の中に、どこかチャーミングで優しい印象を感じさせる池田さんの詩の世界をイメージした秋の花で、お客様をお迎えしました。

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店内には、朗読される詩のテーマに合わせた作品を展示しました。

「母」をテーマにした詩では、池田さんのお母様が好まれていた野の花を中心に、茶釜や柄杓などの小道具を添え、亡き母を想う娘の気持ちを柔らかに表現しました。

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「父」をテーマにした詩では、桐や松、カサブランカで力強さを、オンシジウムの温かな黄色で嫁いだ娘を思いやる無口な父の優しさを表しました。

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「秋」をテーマにした詩では、すすきの穂と、スーパームーンに映る折り紙の舟を天の川に浮かべ、悲しみの先に見える希望と温かなまなざしを表現しました(タイトル画像)。

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花材について

花材は、池田さんの詩に登場する素朴で美しい草花を求めて、山の裾野まで出向き、自ら集めました。
澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込みながら、詩の中にある「それらしいもの」を見つけては感動する時間でした。

崖のふちに赤い実が見え、近づいてみると、なかなか出会えないような美しい山帰来を見つけたり、花が終わった男郎花の力強い美しさを改めて発見したり......

時間を忘れるほど夢中になった二日間で、美しい自然の中にいるうちに、日々の悩みもすっかり消え、心から満たされるひとときとなりました。

この企画を通して

絵を描いている方や工房の先生、詩や音楽を愛する方など、さまざまな分野の方々との素晴らしい出会いがありました。ただ自分の花を生けるだけでなく、詩・料理・花という異なる表現が出会い、お互いを高め合う体験となりました。
三者三様の物語がお客様と一つになる喜びを実感しました。
お客様から多くの反響が寄せられ、お店には何日もの間、感動の感想が届いたそうです。

提案の動機

異なる分野の表現と出会うことで、より大きな物語を生み出す新しい生け花の可能性を強く感じました。
この年齢になって、自分の好きな花材で物語を膨らませながら花を生けていくことに、無限の可能性を感じています。
大変素晴らしい経験で、これからの生き方を示唆してくれるものになりました。

「きれい」の先にある物語を感じられる花を生けていけるよう、楽しんでいきたいと思います。

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