この人に聞く!vol.42 小原流南加賀支部 中惣 恭苑 先生
中惣 恭苑 先生
1977年1月小原流入門
1999年4月准教授取得
2006年9月専門教授者取得
2022年5月一級家元教授取得
2022年より南加賀支部支部長就任

南加賀支部
・南加賀支部はどのような支部でしょうか
南加賀支部は、2023年4月に創立60周年記念花展「春花の舞〜安宅の関にて〜」を開催し、お家元 小原宏貴先生に野外作品をご監修いただきました。
また、2025年11月には、石川県無形文化財指定「御陣乗太鼓保存会」様との共演事業を開催し、いけばなと伝統芸能の交流を行いました。
支部では、お花に興味のない方にも、いけばなの魅力を知っていただきたいという想いを大切にし、地域とともに歩みながら、さまざまな挑戦を続けています。
2025年11月に開催された南加賀支部と伝統文化「御陣乗太鼓」とのイベントはこちら

南加賀支部創立60周年記念花展での作品
小原流との出会い
・いけばなを始めたきっかけをお聞かせください
祖母と母が小原流の教授者で、ひとりっ子の私は、幼い頃からお稽古場が遊び場でした。生まれた時から花が身近にあり、小学生の頃はご近所のお友達と一緒に母にいけばなを習い、母の車で研究会にも通っていました。なかなか95点が取れず落ち込んだことも、今では懐かしい思い出です。
祖母と母は茶道も教えていたため礼儀作法に厳しく、祖母の毎日着物をまとう凛とした姿、パワフルで太陽のような母の姿は子ども心にも強い憧れでした。しかし、その二人と比べられることが嫌で、小原流から一度離れ、フラワーアレンジメントやアートフラワーを学んでいた時期もあります。
転機となったのは、次男出産後にアレンジ教室を開いていた頃、祖母が小原流教務をいただいた際の記念の花鋏を譲ってくれたことです。まだ一度も使われていない美しい花鋏を前に、祖母の「小原流で頑張れ」という無言の思いを感じ、改めて小原流を学び直す決意が固まり、母のもとでお稽古を再開し、現在の活動へとつながっています。祖母から譲り受けた花鋏は祖母の形見となってしまいましたが、お
左:南加賀支部創立50周年記念花展で支部長だったお母様と
右:お祖母様、お母様、中惣先生の花鋏
お教室
・教室を始められたきっかけをお聞かせください
中惣恭苑花教室を始めたのが今から約23年前。友人や、保育園その時の友人は今でも教室に通ってくれていて、たくさんのお友達を紹介してくれました。大変ありがたいことです。お陰様で現在は40名を超える生徒さんたちにお越しいただいています。
お稽古は、「いけばな」と「フリースタイル(フラワーアレンジメント)」に分け、多様な学びが得られるよう工夫しています。両方のお稽古に参加されている生徒さんもいらっしゃいます。
いけばなのお稽古では気持ちを引き締め、フリースタイルではBGMとともにリラックスして取り組んでいます。
教室の様子
・こども教室ではどのようにご指導されているのかお聞かせください
令和5年から始めた「子ども専科」では、いけばなにおいても幼児
子ども専科の様子
いけばなとのコラボイベント
・コラボイベントを始めたきっかけをお聞かせください
いけばなにあまり関心のない方にも花の魅力を伝えたいと思い、これまでに15回以上のコラボイベントを開催してきました。学生時代から行事の企画が好きだったこともあり、花教室のメンバーと文化祭のように楽しみながら取り組んでいます。
始めた当初は母に反対されましたが、イベントをきっかけに入会される方が増え、今では応援してくれるようになりました。これまで、金沢市の大きな会場でのジャズやゴスペル、フラメンコとのコラボや、書店や町家での花展と花いけ体験など、多彩な取り組みに挑戦してきました。
左:フラメンコとコラボの様子 右:作品(八重桜 霧島つつじ 薮椿)
・能登の復興のために活動されているとお聞きしました。
令和6年能登半島地震の発生後、これまでのイベント経験や人脈を復旧・復興に生かしたいと思い、花教室を窓口に能登半島地震復興支援プロジェクト「エールガーデン〜エールの花を咲かせよう〜」を立ち上げました。昨年4月からこれまでに4回のチャリティーイベントを開催し、生徒さんたちの支えもあって義援金は60万円を超えています。
また、「のし」の文字を「のと」に見立て、一輪挿しの花もイメージしたチャリティーTシャツ「のとのしTシャツ」を制作し、オンライン販売を含め300枚以上を販売。2025年10月には「のとのしTシャツ〜御陣乗太鼓バージョン〜」を制作し、輪島市の御陣乗太鼓保存会様に18枚寄贈させていた
花教室の生徒さんたちのお力添えがあってこそ続けられている活動であり、感謝の気持ちでいっぱいです。これからもその思いを大切に、仲間とともにエールの花を咲かせ続けていきたいと思っています。
左:のとのしTシャツ 右:新聞記事
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小原流の魅力
季節ごとの花材をより自然に近い形で生けられるところ、そして花材と花材の間に生まれる「間」を大切にし、そこに風や光を表現できるところに魅力を感じています。
また、伝統を大切にしながらも自由な発想を取り入れた多様な表現方法があるので、生涯にわたって学び続けられるところも小原流の大きな魅力だと感じています。

作品写真
・小原流での活動で印象に残っていることをお聞かせください
窓辺から差し込む柔らかな日差しの中で花を見るのが好きで、インスタグラムでは「窓辺のいけばな」というタイトルで作品を投稿しています。逆光の中では花の色や表情が変わり、葉脈が透けて見えることもあります。光の入り方は一瞬ごとに変わるため、その瞬間の美しさに惹かれて何時間も撮影してしまうこともあります。
その中の2枚が、インスタグラム写真コンテストとメルマガ「家元教場」で入賞しました。どちらも逆光の美しさを評価していただき、とても嬉しく、大きな励みになっています。
左:インスタグラム写真コンテスト「燕子花を飾ろう」入賞作品
右:メルマガ家元教場「花菖蒲のいけばな」入賞作品
これから
南加賀支部の会員の皆さまが、これからも小原流のいけばなを楽しみながら学んでいただけるよう、諸先輩方のご助言をいただきつつ、役員の皆さまと力を合わせて支部活動を充実させるとともに、研究会にも気軽に参加できる工夫を進めていきたいと考えています。
また、いけばなの魅力を多くの方に知っていただくために、さまざまなジャンルとのコラボレーションや新しい挑戦にも取り組み続けたいです。
個人的には、能登半島応援プロジェクト「エールガーデン〜エールの花を咲かせよう〜」が、より大きな支援の輪となり次の世代へ繋がっていくよう、精一杯取り組んでまいります。

九谷焼とコラボレーション
中惣恭苑先生のインスタグラムはこちら
小原流南加賀支部のHPはこちら
インタビューを終えて
幼いころからお花に囲まれて育ってこられた先生。その明るく前向きなお人柄は、周囲の人を自然と笑顔にしているのだろうと感じました。ご自身からコラボレーションを提案される姿からは、いけばなを大切に思う気持ちと、それを行動に移す前向きな姿勢が伝わってきます。これからも、楽しむ気持ちを大切にしながら、いけばなを通して幅広くご活躍されることを願っています。
小原流本部では教授者の皆さまに様々なサポートを行っています。
詳しくはこちらからご覧ください。