この人に聞く!vol.36 小原流津山支部 岸本 豊紀先生

岸本 豊紀先生

1985年6月小原流入門
1988年9月准教授取得
2012年5月一級家元教授取得
2024年10月専門教授者取得
津山支部青年部部長を約6年間就任
津山支部幹部を2023年から務める

今月は、津山支部の岸本豊紀先生をご紹介します。
岸本先生は、去年まで連載していたメルマガ家元教場や、挿花で開催している写真コンテストに素敵な作品を応募いただき、多数の作品で授賞されています。素敵な写真はどのように撮られているか、本部でも話題になっていました。
作品を制作するときに工夫していること、作品を綺麗に撮影する方法など、皆さまもぜひ参考になさってください。


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支部長の坂手 豊春先生にお話しを聞きました

・津山支部はどのような支部かお聞かせください

坂手先生のお話が入ります。

今年5月に行われた、創立60周年記念 特別講習会 「翠風奏花」の様子はこちらから。

ここからは 岸本 豊紀先生にお話しを聞きました

小原流との出会い

いけばなを始めたきっかけをお聞かせください

学生の頃、植物を育てることが好きな母のいけた花を見て、自分も習いたいと思い、母に教えて欲しい!と言いました。しかし母は指導者ではなかったため、習うなら基礎からと思い、母が知り合いに相談したところ、その方が習われていた先生をご紹介してくださいました。
母は嵯峨御流だったのですが、ご紹介いただいた先生が小原流でしたので、私は小原流に出会うことが出来ました。

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③岸本登紀子終雪.jpg③岸本登紀子「薫風」.jpg岸本先生のメルマガ家元教場応募作品⑤岸本登紀子ミドリ-iro.jpg⑤520730 岸本登紀子 一服の清涼剤!.jpg

支部での活動は、いつごろから始められたのでしょうか

30代の頃、当時 青年部部長をされていた方から誘われました。断り続けましたが彼女の粘り強い猛アタックにより部員になる事を決めました。
役が苦手だったのですが、青年部部長を約6年勤めさせていただき、現在幹部役員2年目です。

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岸本先生のメルマガ家元教場応募作品⑥はらり ひらり.jpg

青年部での活動

青年部での活動で印象に残っている事はありますか
印象深い思い出は中国地区野外展です。
山口から始まり広島、岡山、鳥取、島根の順で約2年に1度開催され、岡山県津山支部から毎回参加させていただきました。
お仲間とは事前に打ち合わせや準備はしていても、いざ現地の限られた空間に作品を設置するとなると風景との兼ね合いもあり、なかなか思ったようにはいきませんでした。しかし皆でやり遂げた達成感は一人での制作時とは違った爽快さがありまし

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鳥取での作品制作

マイイケに関しては美術館勤務である兄の影響で現代アートに興味を持ちました。
マイイケは形に囚われない自由な表現が出来る場、普段お目にかかれない全国の先生方との交流の場でもありました。
6回参加し、初めての参加で南嶌賞と家元賞をいただきました。約1.5m×1.5mの与えられた場所は私だけの幸せな空間と時間でした。先生方のお作品を拝見させていただき、どうすればこういう発想が生まれるのかとか、気の遠くなるような作品の数々に出会いと刺激を沢山いただきました。決められた時間内での設置に間に合うかどうか冷や汗をかいたり、行きのバスや新幹線の中で当日までに仕上がらなかったパーツ作りをした事もあり、今では懐かしい思い出です。

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20250621_220542.jpg綿棒を使った作品。この作品で南嶌賞と家元賞をいただきました。

 

挿花写真コンテスト

挿花写真コンテストでの受賞作品

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メルマガ家元教場

2023年から2024年に連載していたメルマガ家元教場に素敵な写真を沢山応募いただきました。カメラマンの方ではないのかと本部では話していたのですが。作品を制作するときに工夫していることなどをお聞かせください。

私は医院勤務です。(笑)スタジオがあるわけではありません。懐中電灯をライト代わりに使ったりと色々工夫しました。
メルマガ家元教場に応募した作品制作についてですが、特に構図 、色彩を意識しました。植物のもつ魅力を引き出しどのように演出するかを常に考え、作品の向きなど何度も確認します。そして何処に落としどころを見出すか着地点を探します。それが決まれば立体感を出す為に光を色々な角度から当てて全体のバランスを確認します。ライトは部屋の通常使用している明かりと、大小3種類程の懐中電灯のみ使用です。
肉眼で見た感じとカメラを通してでは撮影する角度によってイメージが違ってきますので、その確認には時間をかけます。

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1位②岸本登紀子「淡藤色の群れ」.jpg1位⑤唐紅.jpg1位④520730 岸本登紀子十薬.jpgメルマガ家元教場での優秀作品


いけばな以外のデザインコンテストに参加

小原流以外のコンテストにも参加されたとか

はい、自分の可能性と向き合う為に沢山のコンテストに参加しました
きものデザインコンテストでは好きな植物をモチーフに、シンプルさの中に繊細さと力強さを表現できる切り絵で表現しました。

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日本フラワーデザイン大賞には、アクセサリー部門3回、コラージュ部門1回参加しました。
流派を問わず誰でも参加でき、それぞれ部門ごとに規定はあるものの、型にはまらないところが面白さと魅力でもあります。植物の持つ可能性、時間の流れ、命の尊さに自身の感情やメッセージを可視化する楽しさがあります。

日本フラワーデザイン大賞2025 詳しくはこちらから

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日本フラワーデザイン大賞出品作品


小原流の魅力とこれから

・岸本先生の考える小原流の魅力を教えてください

伝統を守りながら自由な発想を受け入れている。
風景や季節感を大切にし小さな花1本にまで神経を研ぎ澄ます繊細さ。作品が垢抜けしているてころです。

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小原流を続けてこられたのは何が大きいのでしょう

とにかく植物が好きです!
そして熱心にご指導くださる先生方や
明るく楽しいお仲間との出会い。コンテストに関しては何も言わずに優しく見守って下さっていた事が私にとって心地よく、のびのびと活動できました。
そして、どんな時も理解し支えてくれた家族の存在が大きいです。

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これからの活動で何か考えていることはありますか?

植物の言葉なきメッセージを形にし、人の心に感動や癒しを届けられる瞬間を作りたいです。

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my花frameにいけた作品
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インタビューを終えて

いつも素敵な写真を送ってくださる岸本先生はどんな方なのだろうと、一度お話してみたかったので、今回のインタビューはとても楽しみでした。カメラマンの方なのかと思っていましたがそうではなく、実はとても工夫されながら作品制作されていることに驚きました。
自分の可能性と向き合う為にとチャレンジを続ける岸本先生。その姿勢にこちらまで背筋が伸びる気がしました。
これからのご活躍を心よりお祈りしております。


小原流本部では教授者の皆さまに様々なサポートを行っています。
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