この人に聞く!vol.35 小原流山口支部 宮本 桂光先生
宮本 桂光先生
1989年12月小原流入門
1992年2月准教授取得
2009年10月専門教授者取得
2010年5月一級家元教授取得
2018年山口支部副支部長就任
山口支部青年部の部長を6年務める
今月は、学生時代からいけばなの道を歩んでこられた山口支部の副支部長である宮本桂光先生をご紹介します。
支部長の木村 修華先生にお話しを聞きました
・山口支部はどのような支部かお聞かせください
毎年恒例の多賀神社祭大神宮献花の様子はこちらから
ここからは 宮本 桂光先生にお話しを聞きました
小原流との出会い
・いけばなを始めたきっかけをお聞かせください
高校生の時に、日本文化への知識を深めたいと思っていたところ、ちょうど姉2人が習い始めるタイミングでしたので一緒に始めました。子どもの時から家の庭にたくさんお花がある環境で育ち、家族もお花がとても好きだったので習ってみようと思いました。
お稽古は、先生も社中の方も皆さん優しく、親切にしていただいたことは今でも覚えています。

宮本先生のお庭の様子
先生はそんなに急がなくてもいいのよとおっしゃったのですが、初等科の時に姉2人と一緒に初めて参加しました。
研究会に参加した時に、待ち時間とかありますよね。その時に、私の姉と同じ年ごろの娘さんがいらっしゃる方とお話したりして、とても可愛がっていただいたのが印象に残っています。

役員研修の作品
青年部
青年部長の時に、研修など積極的に参加しました。研修で出会った先生方や仲間たちが、青年部のイベントに参加すると聞き、「じゃあ私も!」って参加したこともありました。皆さんとワイワイしながらイベントに向かったのも楽しかったし、現地でも刺激がいっぱいで、本当にいい経験になりました。仲間がいたからこそ、あの時間がより特別なものになりました。今振り返っても「あの頃の経験が今に活きてるな」って感じます。

全国青年部野外研修にて、グループで作品を制作しました
まちなみアート
「まちなみアート」のイベントについては、主に支部長先生が中心となって参加されています。私は、声をかけていただいたときに、その都度お手伝いさせていただいています。まちなみアートの前身となるアートフル山口というイベントにも参加したことがあります。山口市に竪小路というところがありまして、その周辺が街並み保存エリアになってるんですね。その辺りに古民家的な建物とかが点在していて、落ち着いた雰囲気のとても素敵な場所です。そこにいけばなの作品を展示しました。和の美しさと自然のやさしさが合わさって、作品がより引き立つんですよね。作品を見に来られたお客さまが、建物といけばなを一緒に楽しんでくださっている様子を見ると、とても嬉しくなります。

まちなみアートでの作品
山口支部創立100周年記念特別講習会
・昨年は支部創立100周年を迎えられ、2月には記念特別講習会を開催しましたね。準備はどうでしたか。
支部としてもさまざまな行事や取り組みが行われる中、私は100周年記念特別講習会では、花材係の担当者をさせていただきました。花は季節や天候にも左右されるため神経を使いました。
開催までは、役員と何度も集まり模索しました。専門教授者の先生方と会員の方には、タイトル募集やバトンに赤色と黄色の蛍光塗料塗りや三角パーツ作成にご参加いただきました。100周年行事を全員参加で一生懸命に取り組みました。このプロジェクトに参加できたことは貴重な体験でした。
記念講習会の様子
・講習会当日はいかがでしたか
講習会当日は、舞台裏で進行サポートを担当させていただきました。他に3名の先生方にもご一緒にサポートしていただきました。「是非この機会に、講習会での経験を通して次につながる何かを感じていただけたら」と思い、舞台裏サポートに携わっていただきました。
演出面については、来場者に「次世代へと繋ぐ想い」を託した赤色と黄色のバトンを、会場に設置したオブジェの松葉の上に置いていただきました。次に、金色のバトンを、長年支部を支えてこられた先生から、次世代を担う中学生の会員へと継承し、最後にオブジェに飾られることで作品が完成する――そんなストーリー性を持たせた演出でした。
山口支部創立100周年記念特別講習会の様子はこちらから
いけばな教室について
・教室登録をしようと思ったきっかけをお聞かせください
ちょうど転職をしたタイミングで、これを機にいけばなをもっと本格的に取り組んでいこうと考えていました。生徒さんをもっと増やし、たくさんの方と触れ合いながら教えていけたらという思いが強くなり、小原流の教室登録をすることにしました。
教室登録をしたらすぐに体験レッスンのお問い合わせがありビックリしました。月に1回ではありますが、体験された方がそのままレッスンを継続してくださることになり、とても嬉しかったです。
・お稽古の時に気をつけていることなどありますか
研究会に「絶対出たいです!」という熱意のある方には、しっかり指導しています。ただ、研究会だけではどうしても内容が偏ってしまう面もありますので、より幅広い視点で学べるように工夫しています。季節に合わせて自然に親しみながら学ぶことで、表現の幅を広げられるよう心がけています。
お子さんに対しては、あまり堅苦しくならないよう、なるべくわかりやすく楽しく伝えることを意識しています。たとえば、「このお花、顔がこっちを向いてるみたいだね」と人間にたとえて説明したり。そうした説明を通じて、お子さんにも自然とバランス感覚や構成力が身についてくると思っています。
それぞれの生徒さんに合わせて、ニーズを聞きながら進めていくように心がけています。

教室の様子
・親先生である国重先生から学んだことも今の指導の基礎になっているのでしょうか?
はい、いけばなそのものだけでなく、「先生がどのように生徒さんに接し、指導しているか」という姿勢もぜひ学んでほしいと以前言われたことがありました。その言葉がずっと心に残っていて、今でも私の指導の大きな指針になっています。
特に感動したのが、そのわかりやすさでした。感覚的な美しさを伝えるのも素敵なのですが、時には細かな部分が曖昧に感じてしまうこともあります。そういったときに、先生は図を使いながら丁寧に説明してくださるので、今まで曖昧だったところが一気に腑に落ちて、すっと理解できる瞬間がありました。そのわかりやすいご指導がとても印象的で、私自身も「こういうふうに説明できたら」と強く思いました。今は、それを自分なりにかみ砕いて、生徒さんたちにも伝えていけたらと意識しながら指導にあたっています。

左:木村支部長 中央:宮本先生 右:国重先生
いけばなや小原流の魅力、これから
・好きな花やいけ方はありますか
燕子花の様式が好きです。以前、2021年のインスタグラム写真コンテスト「燕子花を飾ろう」で最優秀賞をいただきました。
あと蓮も好きですね。家の庭にも蓮があるんですよ。すずらんとか水仙など白い花で香りがいい花や枝垂桜も好きですね。
・小原流の好きなところはありますか
研修過程などを通して、小原流の様式や琳派、文人調をはじめとした多彩な表現に触れる機会があり、その表現方法の幅広さは素晴らしいなと思います。役員研修会などに参加すると、全国の先生方と交流できる機会がありますよね。そういったつながりを持てることも素敵だなと感じています。情報交換をしたり、それぞれの地域での取り組みを知ることで、自分の視野も広がり励みにもなっています。
以前参加した役員研修で「田中一村のイメージでいけてみましょう」という課題が出たとき本当にテンションが上がりました!もともと一村さんの作品が大好きだったので、「これはやるしかない!」という気持ちになって。好きな世界観をいけばなで表現するって、すごくワクワクする体験でした。
・今後の活動や目標などをお聞かせください
まずは、いけばな写真コンテストへの応募を予定しています。特別審査員に尾上菊五郎さんが決まったと聞いて、それだけでワクワクしています。どんなふうに見ていただけるのか今からとても楽しみです。
教室としては、お花だけでなく、暮らし全般に関わるようなこと──たとえば季節の移ろいなどいろいろな学びが得られる場にしていきたいと思っています。生徒さんに、「ここに通ってよかった」と思っていただけるような教室づくりを目指しています。
また、講師試験への挑戦を目標に、現在は研修課程Ⅲ期(
左:田中一村をイメージした作品(役員研修会でのグループ作品)
中央:家元教場での作品 右:地区別教授者研究会での作品
いけばな写真コンテストについてはこちらから。締切は6月30日(月)!
インタビューを終えて
宮本先生は、言葉を丁寧に選びながらお話しされるご様子がとても印象的でした。お花をいけるときも一つひとつをじっくり見極めながら、心を込めていけていらっしゃるんだろうなと感じました。
また、講師試験にも挑戦したいとお話しされていた宮本先生。強い意志と情熱に、こちらまで元気をいただきました。これからのご活躍を心よりお祈りしております。全力で応援しています!
小原流本部では教授者の皆さまに様々なサポートを行っています。
詳しくはこちらからご覧ください。