この人に聞く!vol.43
小原流東京支部 宇賀神 有希 先生

宇賀神 有希 (うがじん ゆき)先生

1994年4月小原流入門
1996年12月准教授取得
2017年9月専門教授者資格取得
20255月一級家元教授取得

今回は、学校でいけばなの授業や部活指導をされている東京支部の宇賀神 有希 先生をご紹介いたします。
宇賀神先生は、さまざまな場面で学生や保護者に 学びの集大成 や 将来の糧 としてお免状を持つ意義を伝えていらっしゃいます。その活動について伺いました。

自分の写真.jpg

支部長の 菊池 瑞月 先生にお話を伺いました

・東京支部はどのような支部かお聞かせください

東京支部は小原流における支部組織のはじまりで、1924年(大正13年)に設立されました。会員数は2,000名を超え、毎月の研究会には約1,000名の会員が参加しています。支部には世田谷、東、西、南、北、多摩、神奈川、埼玉、千葉の9つの地区と八丈支所があり、専門教授者を中心に「みんなの花展」などの活動をしています。
2027年には
創立105年を迎え、4月に記念花展を予定しています。

宇賀神先生は、東京支部花展のこども学生コーナーにも積極的に生徒さんの出品をしてくださっており、あげ花の時などは花展全体の撤収作業で手一杯の支部役員を補助してくださることもしばしばで、とても助かっています。
若手の専門教授者として、今後ますますの活躍を期待しています。

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ここからは 宇賀神 有希 先生にお話を伺いました

小原流との出会い

いけばなを始めたきっかけをお聞かせください

母がいけばなを習っており、薦められたので20歳の時にお稽古を始めました。研究会にもその頃から参加しています。

母の仕事の関係で一時的に授業を代行するきっかけがあり、その時に教授者登録をしました。その時は数回の授業でしたが、そのあと母が定年を迎えるタイミングで学校での授業を引き継ぎました。それと同時に他の学校でも華道担当者を探しているというお話があり、そちらもお引き受けすることになって現在に至ります。

宇賀神先生作品_1.JPG.東京支部花展出品作品(2025年10月)

教授者として

現在、高校と中高一貫校の2校で指導をされていると伺いました

単にお花をいける技術を教えるだけでなく座学の時間もあるので、日本の行事や暦の話、日本文化に関する内容で教材を作り、自分の生活に結び付けてもらえるような授業を心がけています。
最近では、"花の産地とコーヒーベルトの関係"を詳しく調べて取り上げたり、授業で手にした花材はどのように生産されているか、生産が減少している花材をどこから輸入しているかというテーマを扱いました。クラスには留学生もいるため「自分の国から来ているんだ!」と盛り上がることもあり、いけばなを通して知識を拡げてほしいと思っています。

二か所のうち一つの学校では授業回数が12回ほどあるので、小原流のカリキュラムにそった形で進めて、希望者には初等科のお免状を取ってもらっています。
いけばなは人気講座で毎回定員を超えた応募があるので、応募者には「いけばなに対する意気込み」をレポートにして提出してもらい、レポートを読んだうえで学校の先生と選考をして受講生を決めています。
「授業を受けてお免状が取れ、それが履歴書に書ける資格になりますよ」と伝えると、毎年受講者のうち半分くらいの生徒さんが許状を申請してくださいます。

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授業風景

もう一方の学校では授業回数が少ないので授業の中でお免状の申請はできませんが、こちらではクラブ活動でお免状取得ができるということをアピールしています。中高一貫校では最長5年間クラブに所属することができるため、最終的には多くの部員さんが師範科二期まで取得されますね。

お免状を手渡すときにも一工夫して、部活の間に授与式をします。これまでのお稽古の成果が認められる誇らしい瞬間を仲間に祝ってもらうことで、いけばなをさらに学びたいと考えるきっかけになればと考えています

ありがたいことに学校側も協力的で、オープンキャンパスでは「いけばな体験コーナー」を設けてくださるのですが、こちらも事前予約の枠がすぐに埋まってしまうほどの人気コーナーです。
体験では花材を準備して実際に「たてるかたち」をいけるだけでなく、そのあとお花を包んで持ち帰るまでの手順を説明するなど、より部活に近い形でおこなっています。その際、学校の許可を得て小原流のパンフレットなどもあわせて配布し、流のPRにもつなげています。

体験レッスン(宇賀神先生)re.png

体験入部の様子

・保護者はいけばなを学ぶことをどのように捉えていると感じますか?

部活と授業を受け持っている学校と、授業のみの学校がありますが、どちらの学校の保護者様も大変好意的に受けとめてくださっている印象です。
オープンキャンパスで保護者の方が同席すると「昔自分もやっていた」とか「日本の文化を継続的に無理なく学ばせたい」というお話をされることも多く、機会があれば子どもに学ばせたいという理解のある方が多いように感じます。
特に大学進学の際の面接などでは「華道をやっている」「お免状を持っている」ことで面接官との会話がはずんで好印象を持っていただけるといった話をよく耳にしますし、就職してからも学校でいけばなを学んでいたというと「日本文化を理解している子だ」と受け取ってもらえると聞きました。それもあってか、保護者さんがお免状を"メリット"と考えてくださるのでありがたく思います。

また交換留学生向けの授業も行う機会があり、留学生も「いけばなは楽しい」と言ってくれるので、花というツールは世界共通で喜ばれることを実感しています。

留学生体験授業 (1).jpg

留学生のいけばな体験授業

小原流の魅力

・宇賀神先生にとっての小原流の魅力を教えてください

他の流派様の特徴を自分がきちんと理解していないのでうまく言えませんが、小原流の花は華やかで自由度が高く、それでいて足元も引き締まっていて器との兼ね合いが美しいと感じます。

写景などの季節に応じた自然の風景を切り取り表現する技法は大変すばらしく、花展などでは見に来てくださった方に「この作品はこういう部分を表現している」という解説をすると興味深く鑑賞してもらえるのがいいなと思います。

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.東京支部花展出品作品(2024年4月)

これから

・今後の活動や目標、夢などをお聞かせください

勤務している学校に付属の小学校があるのでそのくらいの年齢のお子さんにもお花の機会を与えられたらいいなと思っています。また、卒業しても続けたい生徒さんのために教室を増やしたり、生徒さんの保護者さん向けの活動も出来たらもっと広がるのではないかを感じています。教えたくても始められない人のための場所作りもしていけたらいいなと思います。

こぼれ話

コロナの時にお花にまつわる印象的なことがあったそうですね

自宅の庭の外から見える場所にしだれ梅の木があるのですが、コロナの時、見知らぬ男性が「その梅の枝を欲しい」と言って訪ねてきたことがありました。

「コロナで人を集めて結婚式が出来ないので自宅でリモート結婚式をやるのだが、自分たちの後ろの金屏風にこの梅を飾りたいから分けて欲しい」と。おめでたい席に彩りを加えられることがうれしかったのと、すでに手土産らしきものを持っておられたので「枝をもらえる勢いで来ているんだな・・・」と思ったので快く分けてあげました()。

庭のしだれ梅_re.jpg

庭のしだれ梅

インタビューを終えて
お仕事をしながら教授活動を両立させておられる宇賀神先生。いけばなを多角的な視点から捉えた独自の講義内容と学生により有益な知識を届けたいというお心構えに感銘を受けました。真摯な姿勢と時代の変化を捉える柔軟性が、学校や生徒たちからの厚い信頼につながっていると感じています。

小原流本部では教授者の皆さまに様々なサポートを行っています。
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