この人に聞く!vol.17 小原流横浜支部 菅沼 芳月先生
菅沼 芳月先生
長年に渡り横浜支部役職者を務める菅沼芳月先生。
菅沼先生は横浜支部の拡大に貢献した井上香瑛先生に師事し、支部役員を務めながら多くの花展などに参加してきました。現支部長の米山美砂子先生とも「仲の良いお友達」のような関係という菅沼先生にお話しを伺いました。


いけばなとの出会い
-菅沼先生といけばなとの出会いと、先生になったきっかけを教えてください!
いけばなとの出会いは私が小学校5年生の時でした。友人のお父様が小原流を教えていたのがきっかけです。兄が電照菊を作っていたので私も昔からお花は大好きでした。
高校は小原流ではなかったので少し間が空いてしまったのですが、勤務先であらためて小原流に出会いました。 守屋光月先生が指導されていました。守屋先生は当時、横浜支部名誉幹部で、とてもやさしく尊敬する先生でした。
専門教授者活動を始めたのは20代の頃です。兄の関係でいけばなの先生を探している花店を紹介いただいたのがきっかけです。当時私も勤めておりましたので、仕事の帰りに指導に行っていました。
人と人とのつながりで北里病院でも指導することになりました。多い時には20名近く生徒さんが来てくださっていました。
その後も公民館で指導したり、自宅教場も続けたり。
長く続けてくださる方の中には研究会に休みなく通って、横浜支部創立95周年記念講習会で36年皆勤賞を受賞した方もいます。
また、月に1回、障害者福祉事務所での指導に行っています。
毎回10名くらいに指導しているのですが、角度や長さの感覚がなかなか伝わりません。
指導を始めた当初は戸惑いもあったのですが「うまくいけるだけではなく、楽しむのもいけばな」と考え方を変えました。
生徒のみんなが可愛くて仕方がありません。子供の頃から社会人になっても続けてくれている男性や、お母さまから「子供が喜んでいる」とも耳にしたり。生徒から教わることがたくさんあります。
五代支部長井上香瑛先生に師事
-専門教授者活動をつづけていくうちに支部役職者になられたのでしょうか。
守屋先生の社中が解散になってから、横浜支部五代支部長井上香瑛先生の社中にお世話になりました。それが支部役員就任のきっかけでもあります。
井上先生は厳しかった(笑)。教室の端から端まで、遠くからでもご指導くださいました。
井上先生は「こうしなければだめ」という指導をせず、いけ手本人に考えさせるのが基本です。
最後まで絶対に手を入れませんでした。
指導が深夜まで及ぶことがあり、終電がなくなってしまうこともありました。先生に相談すると「次回からは車で来なさい」と言われて、教場には車で通うことになりました(笑)。
とにかく指導に熱心、絶対に手を抜かない。あまりのバイタリティーに教室では泣く生徒さんもいらっしゃったほどです(笑)。
-横浜支部花展の話は私も先輩方から聞くことがあります(笑)
井上先生にお世話になりながら支部幹部も務めたのですが、花展は思い出の一つです。
支部花展はもちろんみんなの花展でも朝までのいけこみです(笑)。
井上先生は妥協を許さない性格でしたので、朝まで全作品をチェックされていました。
そして非常に勉強熱心でした。アイデアがすごい。毎月様々な雑誌、それも海外の雑誌を取り寄せては山のように積み上げてスクラップしていました。卵の殻のコラージュなんて当時どれだけ斬新だったことか。また蓮葉の敷物の制作では押葉をするのに1日3回新聞紙を取り替えたり、材木屋から買ってきた材料で額縁を作ってみんなの花展のディスプレイをしたり。確固たるビジョンがあったからみんな楽しく、あとを追いかけていたのだと思います。
昔の写真を見ても古びておらず、全然色あせていません。




現支部長の米山美砂子先生と
井上先生も亡くなった現在は米山支部長にご指導いただいています。支部役員として一緒に活動していましたが、今では尊敬する先生です。東先生、井上先生から米山へのバトンタッチも、米山先生がずっと教室の運営に携わっていらっしゃいましたのでごく自然でした。新支部長は決断力と実行力があって感動しています。東先生、井上先生、永森先生を支えて、いよいよ米山先生の時代なのだとしみじみ思います。
米山先生とは小原流本部が立ち上げた「小原流ビギナーズスクール横浜校※」でも指導を一緒に行っていました。ビギナーズスクールでは18年近く指導を担当しました。
支部事務所の空時間を使った教室運営は集客などに課題はありますが、週のうちある程度自由な時間で受講ができること、受講振替が可能なことなど、会員の皆さまにとってはメリットも多いのではないかと思います。
支部役職者としては監事となり第一線は退いておりますが、いけばなは一生続けていけると実感しています。
花を触っている先生は元気な方が多いのではないでしょうか。
花以外にも服装や礼儀作法などについて注意してしまったりするので、支部の中では怖い先輩と思われているかもしれませんが(笑)。これからも楽しく、ずっと続けていくつもりです。
※小原流ビギナーズスクール校は現在は横浜支部が運営