■クマザサ(イネ科)


 クマザサは漢字で書くと隈笹で、その名前は冬期に葉の縁が白くなり、隈取りがなされることに由来します。ただし、熊が食料にしたり、熊が出没しそうな場所に生えるという意味で、地方によってはネマガリダケやオカメザサのことをクマザサ(熊笹)と呼ぶこともあるそうです。ここでは熊笹ではなく、白い隈取りのある隈笹についてご説明しましょう。

 クマザサは現在ではほぼ全国的に栽培されていますが、これは人為的に広められたもの。自生状態のクマザサが見られるのは京都の鞍馬山などに限られています。

 クマザサはほかのササ類同様、地下茎で広がり、一帯にぎっしりと葉を繁らせます。丈は一・五メートルほど、葉は大きいもので長さ二五センチ、幅五センチほどになります。葉に隈取りができるのは、冬の低温によって特に弱い葉縁の部分が枯れ込むためです。

 クマザサは植物学上、ササ属に分類されています。ササ属というのは「Sasa」と表記されますが、これはもちろん日本語の「ササ」に由来します。そして日本語の「ササ」は、その葉ずれの音からの命名であるとも言われています。

 ササ属の植物は六十種以上があり、日本各地、朝鮮半島やサハリン、千島などに分布しています。このササ属の植物にメダケ属、アズマザサ属、ヤダケ属の植物を加えたものの総称がササ類。ササ類の特徴は節に着く皮が腐るまで残っていることで、生長とともに落ちるタケ類と区別しています。

 ササ類は花材として出回ることがほとんどないので、いけばなに用いる場合は自分で採集することになります。直射日光の当たる場所で育ったものは葉の中央部までが焼けて白っぽくなっているので、やや日陰の場所で生育した緑と白の対比の鮮やかなものを選ぶとよいでしょう。タケ・ササ類は一般に水揚げが悪いものです。タケ類では節に穴を開け、中空の部分に水を入れるなどの方法もありますが、細いササ類ではそうもいきません。地下茎ごと掘りあげて用い、いける直前まで濡らした紙などで包み、風に当てないように気を付けましょう。スプレーで葉に水分を与えるのも効果的です。面倒をいとわなければ、同じような形の枝を予備として用意するという方法もあります。予備は全体を水に漬けておき、数時間ごとにいけてあるものと交換します。

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